不眠の治療には、認知行動療法を応用すると効果があることが知られています。
認知行動療法(CBT)はその名の通り、いま困っていることに関係のある考えのクセ<認知>を変える+生活の習慣<行動>を変える治療法です。
CBTにもいろいろ種類があるのですが、不眠にはCBT-I(cognitive behavioral therapy for insomnia)というタイプの治療を使います。
CBT-Iでは次のような面に注目します。
- 1行動 (生活習慣)
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- 日中どう過ごしているか?
- 寝る前の時間をどう過ごしているか?
- 眠れない時どう過ごしているか?
- 2認知(考え)
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- 寝る前に考えていること
- 睡眠についての考え方はどうか
- 3身体
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- 睡眠のサイクルと体温の変化の関係
- ベッドに入ってからのリラックス
もう少し具体的に例をあげてみましょう。
- 1行動 (生活習慣)
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- 日中の過ごし方:ほどよく疲れているか。体は動かしたか。
- 寝る前の時間:寝る直前にスマホを見たりしているか?寝酒の習慣はあるか?
- 眠れない時:眠くない時でもベッドに入る習慣はあるか?
- 2認知(考え)
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- 寝る前に考えていること:不快・不安なことを繰り返し考えていないか。
「眠れるだろうか?」「早く眠らなくては」などと考え続けていないか?
- 睡眠についての考え方:「必ず8時間は眠らなくてはダメ」など信じているか?
- 3身体
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- 睡眠のサイクルにあわせた体温調節:入浴すると体温が上がる。
シャワーの後は眠気はさめて頭が冴える。いったん上がった体温は1時間半から2時間かけて下がる。このタイミングで眠気が起きやすい。つまり、眠りについてもよいと決めた時刻の1時間半から2時間前に風呂から出ると眠りやすい。実際の生活ではどうなっているか。
眠る直前の激しい運動は体温を上げ、目が冴えるので寝つきによくない。
- ベッドに入ってリラックス:体の緊張はないか。力んだ状態になっていないか
このような点に注意しながら、まずは、ふだんの生活や睡眠の状態について、簡単な記録をつけながら振り返り、少しずつよりよい睡眠習慣を取り戻すことを目指します。あせらず、じっくり取り組んでいくとよいと思います。