あおば心療内科 国分寺南クリニック

電話予約はこちら

あおば心療内科 国分寺南クリニック

うつ病とは

Major Depressive Disorder

まずは生活を振り返ろう

落ち込むことは誰にでもあります。なにをやってもうまくいかない時、ありますよね。ただ、毎日ずっと落ち込み続けている時は、少し立ち止まり、振り返ってみましょう。

うつ病の時は、薬を飲んだり、アドバイスを受けて毎日の生活をちょっと変えたりするだけで、見える景色がまったく変わってくることもあります。では、ふつうに「気分が落ちる」「落ち込んでいる」状態と、薬を飲んで治療した方がよいうつ病はどこが違うのでしょうか。その特徴について詳しく見ていきましょう。

うつ病の特徴

気分が落ちるだけではうつ病とは言えません。次のような症状が2週間以上、ほぼ毎日続いている時にうつ病を疑います(アメリカ精神医学会の分類基準DSM-5に準拠)。

気分が落ち込む(抑うつ気分)
  • 落ち込みやすい
  • 小さなきっかけで不安やあせりを感じる
  • 涙が出やすくなった
  • イライラして怒りっぽくなった
不健康な感じ、だるさ、倦怠感
  • いつもなんとなく体調が悪い
  • だるさがある(特に朝起きた時や午前中)
  • すぐ疲れてしまう
やる気が出ない(意欲低下)、
興味の低下
  • やる気が出ない
  • なにをするのもおっくうで、やりたいことがあってもサッと動き出せない
  • 興味がわかない。なにをしても楽しいと感じない
落ち着かない(焦燥)、
素早く動けない (精神運動制止)
  • なんとなく落ち着かない。イライラする
  • 仕事や身の回りのことをこなすのが遅くなった
考える力や集中力がなくなった(思考力低下、集中力低下)
  • 集中力が落ちた
  • ふだんならできる簡単な作業でミスをすることが増えた
ものごとを決められなくなった
(決断力の低下)
  • すっきりまとめて考えられない
  • 普通なら迷わないようなことでも決められない
不眠、食欲低下、性欲低下
  • 眠れない。眠ってもすぐ目を覚ましイヤな気分になる
  • 食欲が減る
  • 過食ぎみになり、体重が減ったり増えたりする
  • 性欲や性への興味を感じなくなった
悲観、すべてのことを
自分のせいだと感じる(罪責感)
  • すべてのことを悲観的に考えやすい
  • 自分には値打ちがないと思う
  • うまくいかないことを自分のせいだと思い込みがちになる
死についての反復思考
  • 死や自殺について何回も、ぼうっと考える

気持ちの落ち込みだけではなく、不眠や食欲低下なども含めて、体と生活全体に影響する症状を見ていることがわかると思います。

QIDS-Jでセルフチェック

症状についてひとつひとつ自分で振り返るのはたいへんです。ひとりで手軽に使えるチェックシートを紹介しておきましょう。

QIDS-J(キッズ・ジェイ)は、次のような内容の質問に順に答えていくと、うつ病の治療を受ける必要があるかどうかがだいたいわかるように作られています。

  • Q1.寝つきはよいか
  • Q2.途中で目がさめたか
  • Q3.思ったより早く勝手に目がさめてしまったか
  • Q4.長く眠り過ぎていないか
  • Q5.1日の中のどれくらいの時間、悲しい気持ちでいるか
  • Q6.いつもより食欲が減っていないか
  • Q7.いつもより食欲が増えていないか
  • Q8.体重が減る傾向ではないか
  • Q9.体重が増える傾向ではないか
  • Q10.集中力や決断力はいつも通りか
  • Q11.自分のことを責めたり、低く評価してはいないか
  • Q12.死や自殺について考えることはあるか
  • Q13.もともと好きだったことについて興味が薄れてはいないか
  • Q14.疲れやすかったり、ふつうのことをするのがおっくうだったりはしないか
  • Q15.いつもより頭の働きが遅くなったような気がしているか
  • Q16.ソワソワしたり、落ち着かなくなったりしていないか

不眠で相談に見えた方には、睡眠薬を出すなどの前にうつ状態の検査をしていますが、QIDS-Jはそのような時にも使いやすくできています。アンケート形式で答えていく中で今まで気づいていなかった症状について知り、不眠以外にも幅広く病気の影響を受けていることがわかってくることもあると思います。

QIDS-Jはうつ病の症状をバランスよくカバーしていますので、症状がよくなると点数が下がります。定期的に点数をつけて治療の目安として使うことができることもわかっています。

関連項目

<気持ちが落ちる>
は双極性障害でも起こる

QIDS-Jでは「気持ちのこと」についてあまり質問されないことに少し驚いた方もおられるかもしれません。うつ病は体の病気という面が強く、よく言われる「気分が落ちる」感覚に当てはまらないところがあるのです。

では「落ちる」感覚には意味がないかと言えば、もちろんそうではありません。たとえば、気分のアップダウンやイライラは双極性障害に関係があるかもしれません。
本項目の内容ではご自分の症状が十分説明されていないと感じた方は関連項目を読んでみてください。

関連項目
  • 双極性障害とは
    うつ病と双極性障害では治療も違います。
    うつ病の治療ではうまくいかない時など読んでみてください。

うつ病はどんな時に
起こるか

ストレスがその人の限界を超えた時、うつ病が起こると考えられています。

ストレスというのは環境の変化による影響を意味する言葉です。急に仕事が増えたとか、結婚や引っ越し、転職や昇進など、環境が急に変わった時はストレスも大きいので注意が必要です。そういう時にもストレスがあふれないように、私たちの体は色々な仕組みでバランスを保っているのですが、ストレスをどれくらい受け止められるか、個人個人の限界は決まっています。

限界に近いストレスを受け続けた時、様々な精神症状が起こります。うつ病もそのひとつです。治療で抗うつ薬などを使うのは、体のバランス調節を助けるためですが、ストレスがかかる環境から離れることも大切です。うつ病の治療の基本は休息と言われるのはこのためです。

関連項目

会社を休んだ方がよいのか迷っている時の対応について書きました。

うつ病の治療Major Depressive Disorder

双極性障害の治療Bipolar Ⅱ Disorder

パニック障害と広場恐怖症Panic Disorder

休職についてWork & Life